![]() ![]() 1990年代前半に、日本へのアジアアロワナの輸入が正式に始まりました。 ちょうどその当時、日本では熱帯魚ブームの真っただ中で、待ちに待った正式輸入をきっかけに、アジアアロワナの人気も一気に大爆発! 熱帯魚店や専門店には、入荷待ちのお客様が殺到し、予約販売の状態が続きました。 それから数年にわたり、ものすごい数のアジアアロワナが日本に輸入、販売されたわけですが、 最初期の頃は、全然赤くならない個体が、”真っ赤になる紅龍の幼魚”として送られる例が多数見られました。 簡単に言うと、現地の人間にだまされていた訳で、グリーンやバンジャールと紅龍のかけ合わせ個体が、 紅龍として入ってくるといったことが日常茶飯事だった訳です。 そのやり方も巧妙で、たとえば100匹のアロワナの入荷に対して、はずれ97匹、当たりの赤くなる紅龍3匹が入っていたりしたのです。 その結果どうなるかと言うと、その3匹が赤く成長して、○○県の○○さんの紅龍は真っ赤になった!といった情報が流れて、 それを聞いた、残りの97人のアロワナ魂に火がついて、赤いアロワナを求めて新しいアロワナに買換え、 といった現象が起こっていったのです。 いかんせん、輸入初期の段階ではアジアアロワナの正確な情報が少なく、 個体の素質を正確に判断できる人が少なかったことも大きな要因と言えるでしょう。 しかし、そんな状況の中でも、”別格”の個体は少数ですが存在していました。
紅龍が、平均20~30万円位で販売されていた頃、 80~100万円で販売される、超高級個体は存在しました。 そして、一部の方はそういった個体を手にしていたという事実はまぎれもなくありました。 安く手に入る個体の中にも、しっかりと選べば赤くなる個体はいるのも確かですが、 ”赤くなることを約束された個体”となると、現地でも当然価格は上がるのです。 常識的に考えてみてください。 10万円でこの上ない最上級個体が手に入るのであれば、50万円の個体は必要ないですよね。 現地でも安く販売される個体から、非常に高価で販売される個体がいるというのは、まぎれもない事実です。 ただし!ただ価格の高いアロワナを買えばよいという訳ではありません。 大事なことは、”なぜその個体が高いのか”を知ることです。 流行やブランド名に踊らされるのではなく、しっかりと理解して購入することが必要です。 たいした情報もない中で、大量のアロワナが日本に増えた時代。
しかし、情報が少なく、想像をふくらませて、わくわくしながらお客様が専門店に足を運んでいたこの時代の方が、 アロワナ界にロマンがあったと感じるのは私だけでしょうか。。。 この時期、日本経済がバブル期であったことも、アジアアロワナ人気を加速させた一因であるかもしれません。
![]() 正式輸入が始まって数年の時が流れ、日本国内にも多くの成長した個体が飼育されるようになり、 その結果、たくさんの個体のデータが集まるようになり、”どのような個体がより良い個体に成長するか” といった情報が多く流れるようになっていったのです。
そうなると、”アジアアロワナを飼育しているだけですごい”という時期が終わり、 多くのマニアは量より質を重視するようになって、”より高品質なアロワナ”を求めるようになる風潮が強まっていきました。 そのような日本市場の雰囲気を、日本の輸入業者、また、現地の養殖場も察知して、 他業者よりも、より良いアロワナを輸入、販売することにプライドをかける競争の時代に入っていくのです。
この時期、現地の各養殖場によって、産出する個体の特徴に、それぞれの独特な特色があり、 特に有名な養殖場になると、個体を見れば”こいつはあそこの養魚場の個体だな” と判別がつく程のオリジナリティのある個体を産み出していたと記憶しています。
国内の輸入業者は、各自がお気に入りのファームと独占的な取引をするようになり、 そのファームの持つ特色を、専門誌等で競って紹介し、また、マニアの方々も自分の推す個体を購入、飼育して、 まるで派閥のように”あれがいい、いやこれがいい”と論議がくり広げられました。
紅龍に関しては、今では当たり前に耳にするようになった、”スプーンヘッド” なるスタイルに人気が集中していったのもこの時期ではないでしょうか。
それによって、紅龍、金龍共にぐちゃぐちゃなクロスブリード(別血統のかけ合わせ)が行われるようにもなり、 後にアロワナ業界に影を落とすようになっていった一面もあるのですが、それはまた別の機会に書いてみたいと思います。
金龍に関しても、様々なクロスブリードが試され、銘魚が作出されるようになった反面、 紅龍と同じく、悪影響をもたらす個体も多数作出されていきました。
とは言え、日本のアロワナ市場が活気に満ちていたのは確かですし、 現地のブリーダーも、日本市場で知名度や人気を上げることにステータスを感じ、 しのぎを削り合っていた、良き時代であったのではないかと思います。
![]() 2000年代中盤、新たに中国でもアジアアロワナの輸入が解禁され、現地からも本格的に輸出が開始されました。 輸入開始当初の様子を客観的に見ると、日本の輸入解禁当時と非常に似たような状態でした。 ただ、そこはやはり中国、人口の数の圧倒的な差と、バブル景気も相まって、 尋常ではない量のアロワナの輸入が行われていきました。 その量は、人気のあるファームですと、一つのファームだけでも2~3千匹といった数に上り、 初期は日本と同様、質より量といった傾向が強かったように思われます。 その中でも、超高級個体も送られていたというところも日本と同様に感じられます。 また、この時期、日本でも有名なファームのオーナー達が、中国に直営店を持つといったことも見られました。 ただ、人気のある高級系の個体を産出する養殖場が、いくらなんでも月に数千匹といったニーズに生産量が追いつくはずもなく、 他所のファームから買い上げてきた個体に、自分のファームの証明書を付けて出荷するといったことが行われていたのは事実でしょう。 日本にいるとピンと来ないかもしれませんが、養殖場に行けばいつでも無尽蔵に大量の極上個体がいるという訳ではないのです。 紅龍でも一匹の親から一度に仔が採れるのは、多くても40~50匹、それを出荷できるサイズにまで、何か月か育てる訳です。 そのような背景の中で、やがて市場は”量より質”を求めるようになり、 ”質より量”時代に、質を落としても量でビジネスを行ったブランドが評判を下げていった、 というような傾向も耳にしました。 そして現在、中国アロワナ界は成熟期を迎え、今だ続く好景気の中で、大量の高級個体が輸入されるようになっています。 結論!! アジアアロワナ原産国、輸出元である、インドネシア、マレーシア、シンガポールでは、 ”よい個体は根こそぎ中国系が買っていく”
といった状況が続いています。 そうなると、日本サイドはなかなかに困った状況になります。 売り手側も、”日本が買わなくても、中国が買ってくれるから別にいいよ”みたいな、売り手市場になってしまい、 本当によい個体は価格もつり上がり、手に入れにくくなった感があります。 さらに追い打ちをかけるように、ベトナム、タイ、フィリピン、韓国、カナダといった国でもアジアアロワナの人気が上がり傾向で、 近年、アメリカ、オーストラリアといった国でも、輸入が解禁されるとの情報も流れてきています。 そして我らが日本の状況!
先に説明したような世界的な状況の中で、 最近の日本市場、一部ではあるのですが、ランクの低い、仕入の安い個体、 全然そのような特徴を見せていない個体を見せて、 ”これは極上!” ”これは鬼ぞりスプーン” ”これは純血” ”これが24K発色!”
と語って商売主義で売られているような風潮・・・。 そのようなことがまかり通っている状況では、 本当に高品質な高価な個体を、現地で高額を支払って仕入れて販売する業者様が減るのも無理はありません。 例えば、マレーシア・シンガポールから輸入されるフルゴールドのゴールデンアロワナ、 ”かなりの割合で、薬品を使用してピカピカの濃色に色上げされている”
のをご存じでしょうか? 実際、 インターネット上で、”5万円もしないような過背金龍”が売られている
のを目にされると思います。 「この過背金龍いいんじゃない?」
と、質問しても 「いや、これはうちのファームでは高背金龍だ!」
といったやり取りが何度もありました。
”より良い個体を、より安く、万全なサービスで”お届けしたいと思います。 ともかく、論より証拠!
これからの DREAM FISH JAPANグループの動向にご期待ください! |